食と農のウェブマガジン Pikkari

新規就農者をサポート

FILE No.2 関係強化は最初が肝心 新規就農者支援

沖縄県 JAおきなわ

申請手続きが複雑な国や県の補助事業。これらの事業の相談に乗ったり、手続きの支援を行ったりすることで、JAとのつながりを強固なものにできる。

ひたむきな新規就農者に接することで、TACも刺激を受けている

「若手農業者の育成強化をしてほしい」「各種制度について知り、補助事業を受けたい」など、担い手や新規就農希望者の声を受け取り、支援を手厚く行っているのが、JAおきなわのTACだ。
 JAおきなわのTACの活動の源流は2007年にさかのぼる。当初は、5地区(北部・中部・南部・宮古・八重山)にある地区営農振興センターに「担い手渉外担当」として職員を1人ずつ配置し、担い手への訪問活動を始めた。
 2015年度現在は、職員16人を配置し、約950戸の担い手を訪問。訪問活動の頻度は、1経営体当たり2か月に1回以上(年間6回以上)をめどに訪問をしている。

研修受け入れ農家のあっせんも

 JAおきなわのTACが訪問時に心がけているのが、各種情報の提供や意見・要望の収集だ。担い手を訪問するさいは、JAや農業関連のイベントのチラシを配布したり、JAバンクの「新規就農応援事業」や国・県の事業を申請するさいの相談に乗ったり、申請書類の作成支援をしている。
 また、JAや市町村に配置されている新規就農コーディネーターと連携して、新規就農者の研修の受け入れ先のあっせんにも力を入れている。沖縄県が認定した研修機関やTACが担当している担い手の紹介、研修の仲介をしているのだ。これら研修生の受け入れ農家にも、恒常的な訪問活動や各種補助事業の取り組みなどをとおして、関係を構築しているため、研修の受け入れを頼むさいは快く承諾してくれることが多いという。
 各種補助事業を提案することで、新規就農者の技術向上と資金繰りにも貢献していると、JAおきなわ担い手サポートセンターの平川尚さんは話す。
「現在、新規就農者に提案しているのが、国が12年度に始めた『青年就農給付金』の準備型と経営開始型をセットで活用することです。準備型を活用することで、給付金を受けながら指導農業士のもとで研修を受けられます。そして研修終了後に経営開始型の給付を受けることで、経営が軌道に乗るまでの5年間の運転資金を確保することができています」  これらTACや新規就農コーディネーターの働きかけもあり、沖縄県の新規就農者数は、10年が244、11年が257、12年が390、13年が357、14年が360と増加基調。14年は、360人中237人が18~45歳と、若手が多いのも特徴だ。
 青年就農給付金は個人でも申し込めるが、JAが積極的に関わることで、その後の資材の購入や施設の利用、貯金や共済の利用など、JAとのつながりをつくることができているという。
「TACの役割は新規就農者を増やすことではなく、担い手まで育てあげること。そのため、新規就農者の農業技術にたいする相談を営農指導員につないだり、経営管理指導のベースとなる農業簿記記帳推進を行ったりするなど、農家の経営管理の一助を担っています。技術の向上や仲間づくりのため、生産部会や青壮年部の加入も勧めていますが、就農者の多くが加入してくれています。やはり顔を合わせる頻度を高めることで、信頼関係が築けるようです」
 将来を担う農業者が育ちつつあると、平川さんは期待を膨らませている。

(※『地上』2016年6月号より。)
情報は取材当時のものです。


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