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【日本ワイン新時代】 ワイン造りは農業の延長線上にある

2016.11.08山辺(やまべ)ワイナリー 長野県松本市(JA松本ハイランド管内)

“日本ワイン”とは、日本で育てられたブドウだけで造られたワインのこと。近年飛躍的においしくなったと注目され、ワイナリー(醸造所)も年々増加中です。「ワインは農作物」と話すワインジャーナリストの鹿取みゆきさんが各地のワイナリーを訪ね、その魅力をお伝えします。

山辺の特産『デラウェア』

「せっかく長野のワインを飲んでもらうのですから、ワインを飲んで長野や山辺を感じてほしいのです」と遠藤さん

 長野県におけるブドウ栽培発祥の地といわれる松本市の山辺地区。1700年代、すでに周辺の農家の軒先では、ブドウが栽培されていたという。山辺地区は松本盆地の外れに位置し、降水量が少なく、日照量は多い。日本の中でも、ブドウ栽培に適した気候に恵まれている。
「山辺ワイナリー」は、地元の生産者、JA松本ハイランドなどが出資して2001年に設立したワイナリーで、原料ブドウは100パーセントが入山辺、里山辺を中心とした松本産だ。
「ワイン造りは農業の延長線上にあるのが本来の姿です。そういう意味でも松本市のブドウを使うことをたいせつにしたい」
 と栽培・醸造の責任者の遠藤雅之さんは語る。そして苦しい時期があっても、けっして原料に海外産の濃縮果汁や輸入ワインを使うことはなかった。今となってはそれが山辺ワイナリーのワインに付加価値を与えている。
 ワインは、ヨーロッパ原産の品種の『シャルドネ』や『メルロ』などに加えて、山辺地区の特産である『デラウェア』をはじめとした、『ナイヤガラ』『コンコード』などアメリカ原産の品種からも造られる。じつはワイン通と呼ばれる人たちは、とかく前者を偏重する傾向がある。しかし遠藤さんは、
「ワインの価格はヨーロッパ系品種のほうが高いですが、どちらの品種が上だとも思っていません」
 と言う。その言葉が示すように、ワイナリーでは『ナイヤガラ』や『コンコード』を自社農園で育てている。
 またこうした品種に加えて、11年からは『ピノグリ』など、それまで経験のなかった品種にも取り組み始めている。未知のブドウの醸造は手探り状態だったが、14年あたりからようやく味わいの方向性がみえてきた。
 めざしているのは、品種が変わっても、すべての味わいに山辺の特徴が感じられるワイン。それは全部のワインに感じる伸びやかな酸だと遠藤さんらはみている。
「ワイナリーの自社農園からは、松本盆地を眼下に見渡せる。こうした美しい景観を味わいに表現したいのです。日本ワインが日常で消費され、日々の暮らしに根づくのを願っています」

左から「ピノグリ辛口2014」3450円、「デラウェア2014」1350円、「ナイヤガラ甘口2014」1350円

山辺地区でのブドウ栽培の歴史を伝える石碑

ショップに並ぶのは、日常的に楽しめる手ごろな価格のワインが中心

DATA

山辺ワイナリー
(株式会社ぶどうの郷山辺)
住所/松本市大字入山辺1315-2
☎0263-32-3644
http://www.yamabewinery.co.jp/
営業時間/8:30〜17:30
(12月〜5月は17:00まで)
定休日/年始、1〜3月の木曜
試飲可能


※税抜き表記以外の価格はすべて税込みです。
※試飲や見学については、ワイナリーによって応対時間や予約の要否、試飲の有料・無料など、条件が異なりますので、訪問のさいは事前にワイナリーにお問い合わせください。

※『家の光』2015年11月号から。
情報は取材当時のものです。

鹿取みゆき
写真家の光写真部
調理

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